6月20日、札幌で行われた「第34回 日本脊髄外科学会」に参加してきました。トピックスは腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ注入治療です。浜松医科大学 整形外科教授の松山幸弘先生の貴重なご講演を拝聴いたしました。
ご存知のように椎間板の髄核の主成分は水分であり、内部をささえるタンパク質としてコラーゲンが存在し、内部の水分を保持するためにコンドロイチンが存在します。コンドリアーゼはこのコンドロイチンに作用し、これを特異的に分解し、保水能を低下させます。その結果、椎間板内圧が減少し、ヘルニアによる神経根の圧排が軽減し、臨床症状が改善します。
以前は、果物のパパインに含まれる「キモパパイン」の椎間板内注入がもっぱらアメリカで行われていましたが、これはタンパク分解酵素であるため効果もあるが副作用も強かったようです。万が一、椎間板外に漏れると、神経根や血管に作用し、壊死を来すこともあったようです。今回のコンドリアーぜはコンドロイチンにのみ作用し、副作用も少なく、長期成績も良好とのことです。
ぜひ、当院でもと考えていますが、今のところ施設基準等に制限があり、当初は大きな病院での治療導入となる見込みです。